白戸家CMの強みとドコモ田家CM

前置き

ソフトバンク白戸家CMがそれなりの人気と、高い知名度を獲得しています。
その白戸家をパクったともっぱらの噂であるドコモ田家のCMが最近開始されました。*1
ドコモのYouTube公式チャンネル

パクリ云々は置いといて、CMとしての善し悪しは白戸家の方が上だと感じました。
評価理由は「音声の使い方」です。その点について各社の比較をしていこうというエントリです。

何故TVCMに音声が重要なのか

TVCMは映像と音声を使った広告手法です。しかし、視聴者が常にTV画面を凝視している訳ではありません。
特に番組ではなくCMの間では「ながら見」状態である事がほとんどです。

その際視聴者の目を画面に引きつけるきっかけとして「音声」が役立つ訳です。AIDMAの法則で言うところのAttention(注意)を音声が担ってくれる訳ですね。

白戸家CMでは特徴的な「音声」をトリガーとして、「あ、白戸家のCMだ」と視聴者の目を画面に向けさせているのです。他業種のCM例では「C.C.レモン」、「VC-3000のど飴」、白戸家とコラボした缶コーヒーBOSSの宇宙人CMなどが「聞いてすぐ何のCMか分かる」好例になってますね。
勿論「どのCMか分かる」だけでなく「あのCMだから見てみよう」とまで思わせないと画面をしっかり見てもらえません。「音声」で注意を集めるのは、あくまで「リピーター用の宣伝技法」とも言えるでしょう。


近年の携帯電話会社(ドコモ・au・ソフトバンクウィルコム)のCMを見てきましたが、ソフトバンク以外のCMでは「音声」を効果的に使えているとは言い難い状況でした。最近若干評価出来るのかなと思えるのはauですが、まだまだ油断は出来ません。

白戸家CMの「音声」

  • 「てとてとてっとてっちゃらららー」*2をはじめとするクラッシックBGM
  • お父さん白戸次郎の声
  • 予想GUYのお兄さん声
  • 娘(上戸彩さん)の声

など、聞いただけで「ソフトバンクのCM」と連想出来る「音声」がほとんどのCMに含まれています。数年に渡って続けられているというのも重要なポイントです。
耳に届くタイミングも、CMの最後ではなく最初の方です。


一時的なゲストキャラとして

↑も十分に特徴的な「音声」ですね。
携帯電話各社が出していたモバイルルーターにおいて「ほにゃららWi-Fi」のほにゃらら部分が「ソフトバンクはウルトラ」と私が即答出来るのは、間違いなくウルトラマンの功績でしょう。

auCMの「音声」

auは今まで色々なCMを放送してきましたが、印象に残る音声が皆無だった訳ではありません。今でもガンガンメールの「つるべもびっくり、バビョーン!!」はどんな曲か思い返せます。
しかし問題は「auのCMはコロコロ変わる」という点です。音声要素についてもコロコロ変わってます。その為CM間で「音声」の共通点が皆無なのです。
最近少し評価出来るのは、スマートバリューのCMで巨人の星のキャラクター&声優を使ってる事ですね。あれなら音声面でも印象が強くなります。星飛雄馬の声優さんが売れっ子過ぎて別CMと混同されかねないというデメリットはありますが、「巨人の星? あ、auのCMか」と連想しやすい状態でしょう。
剛力彩芽さんが「スマートバリュー」と「LTE」の両CMで出演していますが、可能であれば巨人の星キャラクターを一緒に参加させる方が良いでしょうね。
今後auが「CMの【出演音声】をコロコロ入れ替えるかどうか」に注目したいところです。

ウィルコムのCM

現行のCMの前に、「だれとでも定額」開始直後のCMについて言及します。

  • 第九の合唱
  • 白い文字の見にくさ
  • 佐々木希の無駄遣い(台詞無し、無駄に縮小全身像となって目視もしにくい)*3

あの時本気で「馬鹿かこのCM」と思いました。聞き取りにくい「何かの合唱」以上の印象が無い、再度聞かせても「ウィルコムCMの合唱だ」と判別つくほどユニークな音声でもない。視覚面でも内容が見にくい。何もかも最悪のCMでした。
長年のウィルコムユーザー兼マニアでも無い限り、あの第九がウィルコムの携帯から 他社の携帯にも みんなの家にも 誰にかけても 通話料が無料 だれとでも定額ウィルコムという歌詞だと理解出来た人はほとんどいないでしょう。視聴者はCMをわざわざ集中して聞き取ってくれたりしませんよ。


現在のCMは佐々木希さんをベースに高田純次さん・蛭子能収さん・千原兄弟の二人を基本的に継続するなど、「音声」面の「継続」だけはきちんとしているようです。(ただし印象に残るか、そもそもCMの内容が良いかまでは何とも言えませんが)

ドコモCM

ドコモCMといえば以下の様な音声が最近耳に残ってますね。

  • 会社のロゴと一緒に「ドコモ」の声(ただしCMの最後)
  • 家族セット割等の宣伝BGM(「トゥギャザー」ってやつ)*4
  • キッズケータイ用の「コドモダケ〜」の曲

会社ロゴの部分は結構長い間続いており、これがCMの最後でなく最初であれば「音声」面での評価を上げられていたと思います。しかし残念ながらCM最後の部分なので、視聴者に「ん、ドコモ?」と気付いて貰えたとしても時既に遅しです。

「トゥギャザー」はドコモダケの映像と共に「ドコモCM」を印象づける要素になっています。「コドモダケ〜」も同様の効果は含んでるでしょう。
しかしどちらも「ドコモ田家CM」で採用していません。
方針転換も一つの手であるとはいえ、今までの浸透具合をゼロにするのはもったいないですね…。*5

まあとりあえず既存のCMは置いておいて、新しい「ドコモ田家」CMの「音声」要素を見てみましょう。

  • 特徴のある声はほぼ無い
  • 特徴のある喋り方は無い
  • BGMの音自体が控えめ
  • 喋り手が多すぎて個々人の印象が余計残りにくい
  • ナレーション*6の声ははっきり聞こえる

……「音声」面の評価では、正直最悪の出だしでは無いでしょうか。
ナレーション、ジードコモダケとバーバドコモダケの声、それくらいしか音声面で評価&期待出来そうな所がありません。
BGMは聞き込めば覚えることも出来るでしょう。悪い曲だとも思いません。しかしTV放送で「あ、ドコモのCMが始まってる!」と引きつけるには選曲ミスだと言わざるを得ないでしょう。*7
白戸家CMと真っ向勝負をするつもりであれば、ソフトバンクCMの迫力ある系のBGM(モンタギュー家とキャピュレット家 「ロメオとジュリエット」より )の出だし並のインパクトを目指すくらいでないとダメでしょうね。
まだまだ出だしの段階ですが、今後きちんとしたCMになるか見物です。一年限りで「無かったことに」されないよう頑張って頂きたいです。

結論

  • 現状のドコモ田家CMは白戸家CMに広告としての「音声」面で遠く及ばない。
  • 白戸家CMを真似るなら「設定」よりもまず「CMの上手な作り方」を真似るべし。
  • 映像CMであっても、「見てくれる」という前提は期待出来ない。強制的に「見させる」工夫が必須だと心得るべし。
  • 映像CMであっても、音声だけでCMが成り立つくらいを目標にしよう。
  • CMにおいて『認知度』を無闇矢鱈にリセットしない。デメリットをよく考えよう。
  • CM制作者はAIDMAの法則や配色のルールなど、まず「広告」の基礎をきちんと学ぼう。
  • 「映像」と「広告映像」はイコールではない。「広告映像」が作れるところにCM製作を依頼しよう。

白戸(ホワイト)家のクラシック音楽

白戸(ホワイト)家のクラシック音楽

*1:数十日後動画が消えると思われます。何故過去CMを公式の手で残しておかないのでしょうか…

*2:あし笛の踊り 「くるみ割り人形」より

*3:同じ佐々木希さん出演CMの、「ロッテのFit's」CMと比較すれば、どちらが佐々木希さん有効利用しているかは一目瞭然です。

*4:「Let Us Begin Beguine(Together)」とかいう曲らしい

*5:AKBダケの方で「とぅぎゃざー」「コドモダケ〜」を歌って貰う等工夫しても良かったでしょう。

*6:「何故かついでに家族もゼロ円 ドコモの応援学割 さらにパケ代も」の部分

*7:ゲーム用BGM等であったならまあ良曲かも。聞いてて疲れない感じだし